(日勤募集 未経験 年齢不問)抗精神病薬 その1 統合失調症と抗精神病薬
2026/08/18
「OWLさるびあ」の疾患研修シリーズ。今回は【抗精神病薬 その1:統合失調症と抗精神病薬(メジャートランキライザー)の基礎知識】です。
グループホームの現場において、統合失調症をお持ちの利用者様を支援する機会は非常に多くあります。病気のメカニズムと、治療の柱となる「抗精神病薬」の役割を正しく理解していきましょう
。
1. 統合失調症とは?
統合失調症は、脳内の神経伝達物質のバランスが崩れることで、「考え・感情・行動がまとまらなくなる」脳の疾患です。およそ100人に1人が発症すると言われており、決して珍しい病気ではありません。
症状は大きく分けると「陽性症状」「阴性症状」「認知機能障害」の3つに分類されます。
💡 統合失調症の「3大症状」
| 症状の分類 | 主な状態・あらわれ方 | 現場で見られる具体的な行動・訴え |
|
陽性症状 (本来ないものが現れる) |
・幻覚(主に幻聴:「悪口が聞こえる」など) ・妄想(「誰かに監視されている」「毒を入れられた」など) ・思考伝播、強い興奮・焦燥感 |
・誰もいない方向に向かって話している(独語・空笑) ・急に怯えたり、周囲を強く警戒して部屋に閉じこもる ・会話の脈絡が急に飛ぶ |
|
陰性症状 (本来ある機能が落ちる) |
・感情の平坦化(喜怒哀楽が乏しくなる) ・意欲の低下・アパシー(やる気が出ない) ・自閉・ひきこもり(人と関わりたくない) |
・入浴や着替え、部屋の清掃をしなくなる ・一日中ベッドで横になって過ごす ・表情に変化が少なく、応答が遅い |
|
認知機能障害 (脳の情報処理が低下) |
・記憶力・集中力の低下 ・実行機能障害(計画を立てて行動できない) |
・調理や洗濯の手順が分からなくなる ・同時に2つの作業を頼まれるとパニックになる |
2. 脳内で何が起きている?(メカニズム)
統合失調症の主な原因は、脳内の神経伝達物質である「ドーパミン」の過剰分泌や機能異常と考えられています。
【中枢神経系(中脳辺縁系など)】
ドーパミンが過剰に放出される!
│
▼
脳が過剰な情報を受け取り、幻覚・妄想(陽性症状)が発生
▼ そこで抗精神病薬を服用すると…
【抗精神病薬の作用】
ドーパミン受容体(D2受容体)をブロック!
│
▼
ドーパミンの暴走を抑え、幻覚・妄想・興奮を鎮める
3. 抗精神病薬(メジャートランキライザー)とは?
抗精神病薬は、主に統合失調症の症状(幻覚・妄想・興奮)を抑えるために用いられるお薬です。現場では「メジャートランキライザー(大精神安定剤)」と呼ばれることもあります。
前回学んだ「マイナー(小精神安定剤)」との根本的な違い
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マイナートランキライザー(抗不安薬・睡眠薬): GABAに働きかけ、脳全体の興奮を抑えて「不安・緊張・不眠」を和らげる。
-
メジャートランキライザー(抗精神病薬): ドーパミンなどの受容体を直接ブロックし、「幻覚・妄想・強い精神運動興奮」を根本から鎮める。
4. 抗精神病薬の世代による違い(定型 vs 非定型)
抗精神病薬は開発された時期によって「定型(従来型)」と「非定型(新規)」に分かれます。現在の主流は非定型抗精神病薬(SDA、MARTA、DSSなど)です。
| 分類 | 代表的な薬剤名(商品名) | 作用の特徴・メリット | 現場での注意点 |
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従来型(定型) 第一世代 |
・セレネース(ハロペリドール) ・コントミン(クロルプロマジン) |
陽性症状(幻覚・妄想)を力強く強力に抑える。 | **手の震え・体のこわばり(錐体外路症状)**などの副作用が強く出やすい。 |
|
新規(非定型) 第二世代 |
・リスパダール(リスペリドン) ・ジプレキサ(オランザピン) ・セロクエル(クエチアピン) ・エビリファイ(アリピプラゾール) |
陽性症状だけでなく陰性症状にも効果がある。 錐体外路症状の副作用が少ない。 |
薬剤によって**体重増加・血糖値上昇(糖尿病)**のリスクがある。 |
5. グループホーム(OWLさるびあ)での支援・見守りのポイント
統合失調症の治療において、抗精神病薬は「病気の再発を防ぐ安全ベルト」です。
1.服薬継続(再発防止)の徹底サポート:ポイント1。
統合失調症は、症状が落ち着いても自己判断で服薬をやめると高確率で再発します。再発を繰り返すほど認知機能が低下するため、毎日確実に服薬できるよう支援します。
2.「幻覚・妄想」への適切な対応(否定も肯定もしない):ポイント2。
利用者様が「悪口が聞こえる」と訴えた際、「そんな声聞こえないよ」と否定したり、「そうですね、悪口を言われていますね」と話を合わせたりせず、「◯◯さんにはそう聞こえてつらいんですね」と苦しい感情に共感します。
3.陰性症状期の「焦らせない関わり」:ポイント3。
陰性症状(意欲低下・ひきこもり)の時期は、脳がエネルギーを補給している充電期間です。「怠けている」と責めたり無理に活動させたりせず、本人のペースに寄り添います。
スタッフの皆様へ
抗精神病薬は、幻覚や妄想といった激しい脳の混乱から利用者様を守り、穏やかな日常を取り戻すための土台となるお薬です。
「症状が落ち着いたからもう薬はいらない」と本人が感じてしまうことも多いため、スタッフが「お薬を飲んでいるから今の安定した生活が守られている」という視点を持ち、優しく服薬をサポートしていくことが大切です。
次回(その2)では、抗精神病薬で特に注意すべき副作用(錐体外路症状や体重増加など)について詳しく解説します!
まとめ
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統合失調症の3大症状: 陽性症状(幻覚・妄想)、陰性症状(意欲低下・感情平坦化)、認知機能障害。
-
抗精神病薬の役割: 脳内のドーパミン過剰をブロックし、症状を落ち着かせる(メジャートランキライザー)。
-
現場の鉄則: 服薬の自己中断(断薬)による再発を防ぎ、幻覚・妄想には感情に共感するアプローチをとる。
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