(日勤者 募集中 シフト制 土日のみ可)その他の精神科の薬 その2 気分安定薬について
2026/08/29
「OWLさるびあ」の疾患研修シリーズ。今回は【その他の精神科の薬 その2:気分安定薬(情緒安定剤)の特徴と注意点】です。
グループホームの現場では、双極性障害(躁うつ病)や、感情の波・衝動性が激しい利用者様の支援において「気分安定薬」が処方されているケースに多く出会います。
気分安定薬の役割、代表的なお薬、そして現場で最も重要な「中毒症状の初期サイン」や血中濃度管理について整理していきましょう。
1. 気分安定薬(Mood Stabilizers)とは?
気分安定薬は、「気分の上昇(躁状態)」と「気分の落ち込み(うつ状態)」の激しい波(感情の揺れ)を抑え、気分の波をコントロール・予防するお薬です。
抗うつ薬のように「気分を強引に引き上げる」のではなく、また抗精神病薬のように「強い興奮を抑え込む」だけでもなく、気分の上下の波を一定の範囲(安定した状態)に収める役割を果たします。
【気分の波のイメージ】
(躁状態) ──┐ ┌─── (気分安定薬で波を小さくコントロール)
│ 気分の │
│ 大きな │ ─── 穏やかな生活の維持 ───
(うつ状態) ──┘ 変動 └───
2. 現場でよく見かける代表的な気分安定薬
気分安定薬には、炭酸リチウム製剤と、元々は「抗てんかん薬」として開発された薬剤の2つのグループがあります。
| 薬剤名(商品名) | 一般名 | 主な特徴・適応 | 現場で特に注意すべき点 |
|---|---|---|---|
| リーマス | 炭酸リチウム |
双極性障害の第一選択薬。 躁状態の改善や自殺予防効果、再発予防に強い効果を発揮。 |
リチウム中毒のリスク。 定期的な血液検査(血中濃度チェック)が必須。 |
| デパケン / セレニカ | バルプロ酸ナトリウム |
気分の大きな波やイライラ、衝動性を抑える。 (抗てんかん薬としても汎用) |
体重増加、眠気、手足の震え。 肝機能障害や血小板減少に注意。 |
| ラミクタール | ラモトリギン |
双極性障害の**「うつ状態」の予防**に特に優れる。 (抗てんかん薬としても汎用) |
**重篤な皮膚障害(薬疹)**の初期症状(発疹・発熱)に注意。 |
| テグレトール | カルバマゼピン |
興奮や激しい感情の起伏を抑える。 (抗てんかん薬・三叉神経痛にも使用) |
めまい・ふらつき、他剤との飲み合わせ(相互作用)が多い。 |
3. リーマス(炭酸リチウム)服用時の重要ポイント:「リチウム中毒」
気分安定薬の中で最も注意が必要なのがリーマス(炭酸リチウム)による「リチウム中毒」です。
リチウムは「治療に有効な血中濃度」と「中毒を起こす血中濃度」の幅が非常に狭いため、汗をかいて脱水症状になったり、下痢や飲み忘れなどで血中濃度が跳ね上がると中毒を起こします。
💡 リチウム中毒の「初期サイン(段階別)」
| 段階 | 観察できる症状・変化 | 現場での対応 |
|---|---|---|
| 初期(軽度) |
・手足の強い震え ・強い吐き気、嘔吐、下痢 ・生あくび、強い眠気、ふらつき |
早期発見のチャンス。 すぐに看護師・主治医へ連絡し、指示を仰ぐ。 |
| 進行(中等度〜重度) |
・ろれつが回らない(構音障害) ・発語や運動の混乱(運動失調) ・意識がボーッとする、発熱 |
命に関わる緊急事態。 すぐに医療機関受診(救急要請を検討)。 |
⚠️ 水分補給と脱水予防が最大の鍵 夏季の猛暑、運動時、発熱時、下痢・嘔吐時は体内の水分が失われ、リチウムの血中濃度が急上昇しやすくなります。グループホームでは**「こまめな水分補給」**を意識的に促しましょう。
4. グループホーム(OWLさるびあ)での支援・見守りのポイント
1
定期的な「血液検査(血中濃度測定)」通院のサポート
ポイント1
1.定期的な「血液検査(血中濃度測定)」通院のサポート:ポイント1。
リーマスやデパケンを服用中の利用者様は、主治医による定期的な血液検査(血中濃度チェック)が必要です。受診スケジュールを管理し、確実な通院をサポートします。
2
「皮膚の異変」や「消化器症状」の見逃し防止
ポイント2
2.「皮膚の異変」や「消化器症状」の見逃し防止:ポイント2。
ラミクタール服用開始後1〜2ヶ月間の発疹や、リーマス・デパケン服用中の「強い吐き気・下痢・手の震え」は薬の影響を疑い、日誌に記録して速やかに医療連携します。
3
気分の波(躁・うつ)の変化をチームで共有
ポイント3
3.気分の波(躁・うつ)の変化をチームで共有:ポイント3。
「急に睡眠時間が短くなったのに妙に元気」「買い物を大量にしてしまう(躁状態のサイン)」、あるいは「一日中寝込んで会話が減った(うつ状態のサイン)」など、気分の波の変化を早めに察知して主治医へ報告します。
スタッフの皆様へ
気分安定薬は、感情の激しい波に振り回されてしまう利用者様が、穏やかで自分らしい毎日を過ごすための「感情のバランサー」です。
特にリーマスを服用されている方に対しては、「しっかり水分を取れているか」「急な下痢や手の震えはないか」という視点を日常の関わりの中に組み込んでいきましょう!
次回(その3)では、不安感や強い緊張を和らげる「抗不安薬(マイナートランキライザー)の特徴と注意点」について解説します。
まとめ
-
気分安定薬の役割: 気分の「激しい上限と下限の波」を抑え、安定した状態を保つ。
-
代表的なお薬: リーマス(炭酸リチウム)、デパケン(バルプロ酸)、ラミクタール(ラモトリギン)。
-
現場の鉄則: リチウム中毒の初期サイン(手の震え・吐き気・下痢)と脱水防止(水分補給)を徹底する。
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