「対人援助【コミュニケーション術編】 「伝え上手その③」理解しやすい構成で伝えよう
2026/10/10
「OWLさるびあ」の業務・福祉基礎研修シリーズ。今回はコミュニケーション術【伝え上手】の第3弾、【対人援助における「伝え上手その③:理解しやすい構成で伝えよう(結論ファーストとSDS/PREP法)」】です。
伝えたい思いや情報がたくさんあるとき、思いついた順番に話してしまうと、話が脱線したり長くなったりして、利用者様や同僚に「結局、何が言いたいの?」と負担をかけてしまいます。
対人援助の現場では、相手の脳に負担をかけない「話の組み立て・構成フレームワーク」を活用して伝えることがプロの技術となります。
1. なぜ「話の構成(順番)」が大切なのか?
情報処理や注意の保持が苦手な利用者様や、多忙な現場のスタッフにとって、ストーリー仕立て(起承転結)で順を追って話を聞くのは大きなエネルギーを消費します。
【構成のない話し方(起承転結)】
状況の説明 ──> 理由・経緯 ──> 感情・感想 ──> (最後に)結論
※途中で何の話か分からなくなり、聴き手はストレスや不安を感じる
【理解しやすい構成(結論ファースト)】
結論(要点) ──> 理由・具体例 ──> まとめ・次のアクション
※最初に着地点がわかるため、安心して詳細を聴くことができる
最初に着地点(結論)を明確にすることで、相手は「何について理解すればいいのか」という受け入れ態勢(引き出し)を準備できます。
2. 現場で使える2つの王道フレームワーク
対人援助の現場で使い分けられる、代表的な2つの伝える文章・会話構成です。
① SDS法(要約・詳細・要約)── 短く素早く伝える(日常の連絡・指示・要約)
最もシンプルで、日常業務の報告や短い連絡に適した構成です。
| 順序 | 役割 | 具体的なフレーズ例 |
| S (Summary) | 全体の要約(結論) | 「明日の夕食の時間が18時から18時半に変更になります。」 |
| D (Detail) | 詳細・具体的な説明 | 「明日は皆で外の清掃活動を行うため、準備の時間を少し長くとっているからです。」 |
| S (Summary) | 全体の要約(確認) | 「ですので、明日は18時半に食堂にお越しくださいね。」 |
② PREP法(結論・理由・具体例・結論)── 納得感を高める(提案・指導・面談)
理由や具体例を交えて、相手に納得・行動してもらいやすくする構成です。
| 順序 | 役割 | 具体的なフレーズ例 |
| P (Point) | 要点・結論 | 「朝の服薬後、コップ1杯のお水をしっかり飲んでいただきたいです。」 |
| R (Reason) | 理由 | 「お薬がお腹の中でスムーズに溶けて、効果が出やすくなるためです。」 |
| E (Example) | 具体例・エピソード | 「水が少ないと、お薬が喉や胃にくっついて胸やけの原因になることがあります。」 |
| P (Point) | 結論の再確認 | 「ですので、毎朝お薬と一緒にこの大きめのコップ1杯分を飲み干しましょうね。」 |
3. 実践!対話のビフォー・アフター
グループホームの利用者様へ、通院日の変更について説明する場面です。
✕ 良くない例(理由や経過から話し始めて混乱させる)
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支援者: 「〇〇さん、来週の水曜日の病院なんですけどね、担当の〇〇先生が急に学会が入っちゃったみたいで予約が取れなくなっちゃったんですよ。それで病院に電話して他の曜日を聞いたら火曜日の午前中なら空いてるって言われて、でも火曜日は作業所の日じゃないですか。だから作業所にも電話して休みをもらう手続きをして…なので通院は火曜日に行きますね。」
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利用者様: (情報が多すぎてパニックになり)「えっ!?水曜日じゃないの!?作業所はどうなるの!?」
〇 良い例(PREP法で結論から伝える)
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支援者: 「〇〇さん、来週の通院日ですが【P:結論】水曜日から『火曜日』に変更させてください。」
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利用者様: 「えっ、火曜日に変わるんですか?」
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支援者: 「【R:理由】はい、担当の先生のご都合で水曜日の診察がお休みになったためです。【E:具体例】火曜日は作業所の日ですが、こちらから作業所へお休みの連絡は完了していますのでご安心くださいね。【P:結論】ですので、来週は『火曜日の午前中』に一緒に行きましょう。」
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利用者様: 「あ、作業所にはもう連絡してくれたんですね。分かりました、火曜日ですね。」(※安心して受け止められる)
4. 伝わりやすさを高める3つのテクニック
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一文を短く切る(ワンセンテンス・ワンメッセ―ジ)
「〜で、〜だから、〜なのですが…」と接続詞で文を長く繋げず、「〜です。」「理由は〜です。」と1文を短く区切ります。
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箇条書き(ナンバリング)を使う
伝える内容が複数ある場合は、「理由は2つあります。1つ目は…、2つ目は…」と数字で区切ると、整理して記憶しやすくなります。
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最後に「確認の問いかけ」を入れる
話し終えたら必ず「ここまでのところで、分かりにくい部分はありましたか?」と、相手の理解度を優しく確認します。
まとめ
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本質: 思いつきで話さず、相手の脳に負担をかけない順序(結論ファースト)で整理して届ける。
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公式: 日常の報告はSDS法(要約➔詳細➔要約)、納得させたい提案はPREP法(結論➔理由➔具体例➔結論)。
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極意: 「相手が一番知りたいこと(結論)」を最初に提示することが、最大の配慮であり安心感を生む。
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