(夜勤者募集 西岡 福住 中の島)強度行動障害に足しての実際の支援例
2026/07/12
「OWLさるびあ」の研修シリーズ、お疲れ様です。ここまでの3回で「強度行動障害」の理論と原則(構造化・感覚配慮・危機管理)を体系的に学んできました。
今回は、それらの知識をグループホームの現場でどう形にするのか、【OWLさるびあ各拠点(西岡・福住・中の島)でも明日からそのまま応用できる、具体的な3つのリアルな支援事例】をストーリー仕立てでご紹介します。
抽象的な「構造化」という言葉が、現場のちょっとしたアイデアでどう命を吹き込まれるのか、実際のビフォー・アフターで見ていきましょう。
支援事例1:【自傷・他害】こだわりが崩れると大爆発するAさん
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利用者特性: 30代男性。自閉スペクトラム症。カレンダーを見るのが大好きで、「毎週土曜日の14時は、大好きなドライブ(車に乗る)の時間」と決まっている。
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発生していた問題: ある土曜日の14時、突然の豪雨でドライブが中止に。スタッフが「Aさん、今日は雨だからドライブは無しね、また来週行こうね」と伝えた瞬間、自分の頭を床に激しく打ち付け(自傷)、止めに入った女性スタッフの腕を掴んで引っ掻く(他害)という激しいパニックが20分以上続いた。
🛠 プロの支援アプローチ(アフター)
言葉だけで「中止」や「変更」を伝えるのを一切やめ、【時間の構造化(見通し)】と【代替コミュニケーション】を徹底しました。
1
「×(バツ)」カードの導入と、代替案の視覚化
対策 1
1.「×(バツ)」カードの導入と、代替案の視覚化:対策 1。
土曜日のスケジュール表の「ドライブ」の写真の上に、静かに「×」のカードを重ねて貼りました。そしてそのすぐ右側に、本人が2番目に好きな活動である「お部屋で大好きなDVD(電車の映像)を見る」の写真を並べて貼りました。
2
理由を長々と説明せず、写真だけを見せる
対策 2
2.理由を長々と説明せず、写真だけを見せる:対策 2。
スタッフは「雨だからダメ」と口頭で説得するのをやめ、スケジュール表を指さしました。Aさんは【ドライブ ➔ バツ ➔ DVD】という文字通りの流れを目で見て、20秒ほどウロウロと不穏になりましたが、言葉の洪水に溺れることなく「あ、次はDVDなんだな」と脳で処理できました。
3
納得した瞬間に1秒で次の活動へ繋げる
対策 3
3.納得した瞬間に1秒で次の活動へ繋げる:対策 3。
Aさんが自ら電車のDVDのパッケージを手に取った瞬間、スタッフは無言で笑顔で頷き、すぐにテレビをつけました。「暴れなくても、次の楽しい見通しが分かる」という安心感により、土曜日のパニックはゼロになりました。
支援事例2:【食事のパニック・他食】目の前にあると全部一瞬で食べてしまうBさん
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利用者特性: 40代男性。重度知的障害。「満腹感」を感じる脳のセンサーが働きにくく、食べ物への執着が非常に強い。
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発生していた問題: 夕食時、自分の配膳(ごはん、お味噌汁、おかず)がテーブルに並んだ瞬間、味わうことなく1分足らずで犬食いのように丸呑みしてしまう。食べ終えると、まだ食べている隣の利用者様の皿に猛スピードで手を伸ばし、奪い取ろうとして掴み合いの喧嘩(他害・パニック)に発展していた。
🛠 プロの支援アプローチ(アフター)
「他人のものを取っちゃダメ!」と叱る環境(管理)から、物理的に他食ができない【空間・活動の構造化】へと環境を引き算しました。
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椅子の向きとパーテーション(空間): 他の利用者様の食べている姿や、美味しそうなおかずが「目に入らない」ように、Bさんの席をリビングの壁側に向けて配置し、横に簡易パーテーションを立てました。視覚的な誘惑をシャットアウトするだけで、イライラが半減しました。
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「わんこ蕎麦」方式の配膳(活動): 一度にお膳をすべて出すのをやめました。まずはお盆に「サラダとおかず半分」だけを乗せて出します。それを食べ終え、空になった皿をBさんがスタッフに手渡したら(平和な要求)、スタッフは「はい、次はお味噌汁とごはんです」と、後半のメニューを出します。
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結果: 「お皿が空になったら、次の美味しいものが確実に出てくる」という安心ルールが定着。隣の人のごはんを奪う必要がなくなり、食事の時間が穏やかなリラックスタイムに変わりました。
支援事例3:【深夜の徘徊・大声】夜中に何度も起きて不穏になるCさん
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利用者特性: 50代女性。夜勤帯(午前2時頃)になると、毎日のようにカチカチと部屋の電気をつけたり消したりし、廊下に出てきては「あー!!」と大声をあげて各居室のドアを叩いてしまう。
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発生していた問題: 夜勤スタッフがその都度「Cさん、夜中だから静かにして、お部屋で寝ようね」と手をつないで部屋に戻そうとするが、部屋に入った瞬間にまた大声をあげる。他の利用者様の睡眠も妨げられ、夜勤スタッフも精神的に疲弊していた。
🛠 プロの支援アプローチ(アフター)
ベテランスタッフがCさんの行動を観察(名探偵の視点)したところ、ある【感覚過敏(脳の痛み)】に気づきました。
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原因の特定: Cさんが起きてくる午前2時は、ホームの自動換気システムが強運転に切り替わる時間帯でした。私たちには聞こえない「ブーーン」という重低音(低周波ノイズ)が、Cさんの過敏な耳には「脳を突き刺すサイレン」のように聞こえ、恐怖でパニックになり、スタッフを呼ぶために大声をあげていたのです。
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ノイズの引き算: Cさんの部屋の換気口に防音シートを貼り、夜間の動作モードを静音に調整しました。さらに、夜間の廊下を移動する際の不安を減らすため、足元に「トイレはこちら」を示す優しい緑色のLEDフットライト(視覚的誘導)を設置しました。
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結果: 耳への痛みが消えたCさんは、夜中に目を覚ましてもフットライトを見て安心し、自分でトイレを済ませたあと、そのまま静かにベッドに戻って朝まで眠るようになりました。
💡 20〜60代スタッフの皆様の「観察力」が、最大の支援ツール
これらの事例に共通しているのは、「利用者様の行動を無理に変えようとしていない」ということです。変えたのは、スタッフの関わり方と、100円ショップのパーテーションやカードといった「環境」だけです。
OWLさるびあの夜勤帯や夕方の忙しい時間、利用者様がウロウロし始めたり、声が大きくなったりしたときは、ぜひこの事例を思い出してください。
「あ、この子は今、Aさんのように見通しが立たなくて不安なのかな?」 「Bさんのように、情報が多すぎてパニックになりそうなのかな?」 「Cさんのように、何か嫌な音が聞こえているのかな?」
そうやって、本人の行動の裏にある「理由」を優しく、毅然と見つけるプロの目が、ホームの心理的安全性と穏やかな日常を支えています。
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