(スタッフ募集中 日勤 夜勤)睡眠薬と抗不安薬 その3 睡眠障害のタイプと服用薬の選択
2026/08/13
「OWLさるびあ」の疾患研修シリーズ。今回は【睡眠薬と抗不安薬 その3:睡眠障害のタイプと服用薬の選択】です。
グループホームの利用者様から「眠れない」と訴えがあったとき、主治医はどのようにして薬を選んでいるのでしょうか?また、処方されているお薬を見て「なぜこのお薬が選ばれたのか」をスタッフが理解できていると、夜間の様子観察や主治医への報告の質が格段に高まります。
今回は、睡眠障害の4つのタイプと、それに合わせた睡眠薬の選択(マッチング)、そして近年主流となりつつある「新世代の睡眠薬」の選択理由について詳しく解説します。
1. 睡眠障害タイプと睡眠薬の「マッチング一覧」
睡眠薬は、半減期(体内で薬の濃度が半分になるまでの時間=薬が効いている時間)によって使い分けられます。
| 不眠のタイプ | 主な症状・悩み | 主治医が選択する薬のタイプ | 代表的な薬剤(商品名) | 現場での観察・注意点 |
| 入眠障害 | 「布団に入っても1〜2時間眠れない」 |
超短時間型 (半減期 2〜4時間) |
・マイスリー(ゾルピデム) ・アモバン(ゾピクロン) ・ルネスタ(エスゾピクロン) |
飲んですぐ効くため、服薬後すぐ布団に入る。一服後健忘(服薬直後の記憶が抜ける)に注意。 |
| 中途覚醒 | 「夜中に何度も目が覚めて不安になる」 |
短時間型〜中時間型 (半減期 6〜24時間) |
・レンドルミン(ブロチゾラム) ・リスミー(リルマザホン) ・サイレース(フルニトラゼパム) |
睡眠を持続させる。夜間トイレ時のふらつき・転倒に最も注意が必要。 |
| 早朝覚醒 | 「朝4時頃に目が覚めてもう眠れない」 |
中時間型〜長時間型 (半減期 12〜24時間以上) |
・ドラール(クアゼパム) ・サイレースなど |
朝方まで効かせるため、**翌朝〜日中の持ち越し(強い眠気・だるさ)**がないか確認。 |
| 熟眠障害 | 「時間は寝ているのに疲れが取れない」 |
オレキシン受容体拮抗薬 または深層睡眠を増やす薬 |
・デエビゴ(レンボレキサント) ・ベルソムラ(スボレキサント) |
睡眠の質(深さ)を整える。翌朝すっきり起きられるか状態を観察。 |
2. なぜ今「新世代の睡眠薬」が優先して選ばれるのか?
現在、精神科・心療内科のガイドラインでは、従来の「ベンゾジアゼピン系」ではなく、「オレキシン受容体拮抗薬」や「メラトニン受容体作動薬」が第一選択薬(最初に使用する薬)として選ばれるケースが急増しています。
【従来型:ベンゾジアゼピン系】
脳全体を強引に鎮静(抑圧)させる ──▶ 依存性・転倒・せん妄のリスクが高い
▼ 選択のシフト
【新世代:オレキシン受容体拮抗薬など】
脳の「覚醒スイッチ(オレキシン)」をブロック ──▶ 自然な眠気を誘導、安全性が高い
💡 現場で「デエビゴ」「ベルソムラ」「ロゼレム」が増えている理由
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転倒リスクが非常に低い(筋弛緩作用がない):
筋肉をゆるめる作用がほとんどないため、夜中にトイレで起きた際の「足の力抜け・ふらつき・転倒」が激減します。
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依存性・耐性がつきにくい:
「飲まないと不安」「だんだん効かなくなって量を増やす」というリスクが低く、将来的な減薬がスムーズに行えます。
-
せん妄・健忘が起きにくい:
高齢の利用者様や認知機能に低下が見られる方でも、夜間の混乱(夜間せん妄)や記憶飛びを起こしにくい利点があります。
3. 「不眠の訴え」に対してスタッフが行う適切な情報収集
利用者様が「眠れない」と訴えた際、ただ「睡眠薬を出してください」と受診・連絡するのではなく、「どのタイプの不眠か」を整理して伝えることが、主治医による正しい薬剤選択につながります。
1.睡眠パターンの具体化(何時にどう眠れないか):収集1。
・何時に布団に入り、何時頃まで起きているか(入眠障害?)
・夜中に何回、何時頃に起きるか(中途覚醒?)
・朝何時に目が覚めてしまうか(早朝覚醒?)
2.日中の様子・副作用の有無の観察:収集2。
・日中ウトウトしていないか、活動量は保てているか
・朝起きた時の「ふらつき」「だるさ」「頭痛」がないか
3.主治医・訪問看護への「根拠のある」報告:収集3。
「夜中に2時と4時の2回目が覚めて、その後眠れないとおっしゃっています。朝起きた時のふらつきはありません」など、タイプと状況を具体的に医療へ共有します。
スタッフの皆様へ
睡眠薬の選択は、「ただ眠らせる」ためだけではなく、「翌日の日中を安心・安全・元気に過ごすため」に行われています。
超短時間型を飲んでいる方が夜中に起きて歩き回っていれば「薬が切れているかもしれない」、長時間型を飲んでいる方が昼間ずっと傾眠傾向にあれば「持ち越しているかもしれない」といった視点を持つことが大切です。
日々の睡眠リズムや夜間の様子をしっかり観察し、適切な薬の選択と安全な生活支援につなげていきましょう!
まとめ
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薬剤選択の基本: 入眠障害=超短時間型、中途覚醒=短時間〜中時間型、早朝覚醒=長時間型。
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時代の変化: 転倒や依存のリスクが低い「デエビゴ・ベルソムラ(新世代)」が第一選択に。
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現場の役割: 「どのように眠れないのか」のタイプを正確に観察し、主治医へ情報共有する。
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